あいば▶アイボリー

あいば[愛馬] (名)〔文〕4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 第7版で〔文〕が加えられた。

 

あいはむ[相(▷食む)] (他五)〔文〕4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 まったく変わってない項目、その25。

 

アイバンク (名) 4:3, 5:3, 6:3, 7:3

 語釈の末尾に『目の銀行』と書かれていたのが、第6版から『眼球銀行』に改められた。アイバンク業務を行う組織はおおむね都道府県ごとに設置されていて、たいてい「アイバンク」か「眼球銀行」を名称に入れているので、単に直訳の『目の銀行』を書いておくよりは実際的な記述と言える。原語綴りのところに書くならともかく。

 他の辞書を見てみると、「岩波」「新選」にはなくて「新明国」「集英国」には載っている、という、カタカナ語への対応の差を伺わせる語である。

 ところで、「集英国」では語釈の末尾に「角膜銀行」と書いているんだけど、これは実際にそう名乗っていた機関などがあってのことなんだろうか。というのも、この「角膜銀行」という語でGoogle検索してみても、実用例ではなく辞書の語釈に書かれているものがヒットするばかりで、どうも実際に使われていた形跡がみつからない語なんである(幽霊語の疑いがある、とでも言うべきか)。

 移植に使うのは角膜だけど、持っていくときには眼球ごと持っていくので(代わりに義眼をはめてくれる)、その点から言っても「アイバンク/眼球銀行」というべきであって、「角膜銀行」は実態に即していない。

 厚生労働省のサイト内検索(”角膜銀行” site:mhlw.go.jp)で出てきた資料を読んだところ、「角膜銀行」という言い方に否定的な文脈での言及しかなかった。今の臓器移植法の先祖に当たる法律が「角膜移植に関する法律」であったことから、提供する臓器(組織だけど)の呼び名としては「角膜」を用いる、という慣習が続いていたが、「アイバンク/眼球銀行」としての名称と業務にそぐわないからやめてくれ、という議論の上での言及である。かつてはそのような慣習のもとで、「角膜銀行」という名称を試みたこともあったのかもしれない(未確認)。しかし現在では、どの関係機関も「アイバンク/眼球銀行」と名乗っているし、ドナーカードの表記も「眼球」に改められているので、「角膜銀行」が実用の語として復活することはなさそうである。

 

あいはんする[相反する] (自サ) 6:2, 7:2

 第7版で〔文〕のラベルが外された。

 

アイビー (名)〘植〙6:4, 7:8

 第6版で初出、第7版で8行にまで増えた、急成長の見出し。ツタ植物のアイビーと、追い込み項目に『●アイビーリーグ』について書いて合計4行、だったのが、第7版ではさらに4行も費やして『●アイビールック』が書き足された。ファッションとしては60年前の流行だけど、今でも業界用語にはならず、標準的なスタイルの一つとして定着して、エッセイとかで普通に(説明なく)使われる語、という印象があるので、国語辞典に採って由来を説明するタイミングとしてまことにまっとうだと思う。50年代アメリカと、それを全身に浴びた団塊世代の文化的プレゼンスの高さ、という観もないではない。なにしろ「新選」が「アイビールック」を単独で見出しに立てているくらいである。「アイビー」も「アイビーリーグ」もないのに。現代文に載るエッセイとかで拾われたんだろうか。

 ついでに他の辞書についても言うと、「岩国」では採ってなくて、「新明国」「集英国」は「三国」同様に「アイビー」以下に「―リーグ」「―ルック」を追い込み項目として挙げている。「集英国」なんかアイビーリーグの大学名をすべて列記する念の入りようである。「新明国」は「アイビー」の見出し自体は第4版からあったが、これはツタのことを言っているだけで、リーグとルックのことを載せたのは第7版が初めてだった。

 

アイピー[IP] (名)〘情〙6:11, 7:12

 第6版で初出。internet protocolについての説明が4行あって、そのあとに追い込み見出し『●IPアドレス』『●IP電話』『●IP放送』が並んでいる。第7版では『IPアドレス』の説明に『ネット上の住所に当たる』という噛み砕いた説明が書き足されたほか、子見出しにも〘情〙のラベルがいちいちついたので、全体で一行増えることになった。

「三国6」を追うように……というわけでもないだろうけど、その後改版された「新明国」「岩国」「新選」にはもれなく載っている。「集英国」は意外にも未採用。巻末の「ABC略語集」に「IP」の見出しはあるが、information provider = 情報提供者の略、ということなので、これは別人。

 

アイピーエスさいぼう[iPS細胞] (名)〘生〙7:5

 第7版で初出。情報の「IP」とは関係がないし、表記も小文字の「i」なので、当然『アイピー[IP]』以下の追い込み見出しにはならない。『Rh因子』のような、本来「R」と「h」の間に切れ目はないのに分割され、意味的に関係のない曲率の『アール[R]』以下に追い込まれてしまう程度の見出しとはわけが違うんである……というのは、当てこすりに過ぎるか。失礼しました。

 

あいびき[合い(×挽き)] (名) 4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 第5版で、表記欄に「かな書きにして(も)よい」を意味する()が加えられた。

 

あいびき[(×逢い引き)・(×媾×曳)] (名・自サ)〔古風〕4:2, 5:2, 6:3, 7:3

 第5版で、表記欄に「かな書きにして(も)よい」を意味する()が加えられた。第6版で〔古風〕のラベルが加えられたため、二文字はみ出して三行項目になった。第7版では、それまで『愛し合っている男女が』となっていたところ、『恋人(コイビト)どうしが』に改められた。「恋人」の読みがなを削れば、ついでに二行に戻せるのに……と思うけど。なんらかの内部ルール的に削れないのかな。

 

あいびょう[愛猫] (名)〔文〕4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 まったく変わってない項目、その26。〔文〕も第4版からちゃんとある。

 

あいぶ[愛×撫] (名・他サ) 4:3, 5:3, 6:3, 7:3

 第6版までは、①『かわいがって、なでたりさすったりすること』②『(なでたりさすったりするようにして)深く愛すること』という二つの定義で、「母親が子どもを愛撫する」とか「飼い主が飼い猫を愛撫する」とかの意味しか載っていなかった(第6版で〔文〕のラベルがついた)。①と②の意味の差は微妙なんだけど、実際になでたりさすったりするかはともかく、常に手の届くところに置いて愛育する、というニュアンスで「愛撫」が使われていた、ということと思われる。

 ところが、第7版では①が『〔文〕かわいがって、なでたりさすったりすること』となり、②には『〔性行為として〕なでたりさすったりすること』というのが堂々登場した。もとの二つの意味の間にあった微妙な差は失われてしまったけど、「みんな大好きエロ見出し」の末席に連なることにはなったわけである。「愛撫」ご自身はこの転身をどうお感じになっているのだろうか。

 他の辞典では『性行為として』に当たるような意味を採っていないので、「三国」らしい攻めた改稿と思う……んだけど、他の辞典や「三国6」までのように、「エロ目的で引いてみたけど、エロい意味が書いてない」という風情もなかなか捨てがたいものである。「スーパー大辞林」なんか、『仁慈の政を行い人民を愛撫する』という明六雑誌からの用例を引いていて、エロ目的で「愛撫」を引いて、不意打ちでこんな立派な用例を読まされた男子中学生の心中はいかばかりか、と思う。

 

あいふく[合い服・▷間服] (名) 4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 まったく変わってない項目、その27。

 

あいふだ[合い札] (名) 4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 まったく変わってない項目、その28。

 

アイブロウ (名) 4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 第5版までは『アイブラウ』が見出しで、『アイブロウ』は定義の末尾に書かれていた。が、第6版で逆転して『アイブロウ』が見出しになった。私はこういうパターンを個人的に「下剋上」と呼んでいます。第7版では『アイブロー』という表記ゆれも書き足された。

 

あいべつりく[愛別離苦・:哀=別離苦] (名)〘仏〙4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 まったく変わってない項目、その29。

 

あいべや[相部屋] (名) 4:3, 5:3, 6:3, 7:3

 第5版まで表記欄に「合い部屋」とも書かれていたんだけど、第6版で削られた。ついでに『相部屋になる』という用例も加えられた。

 

あいぼ[愛慕] (名・他サ)〔文〕4:1, 5:1, 6:1, 7:2

 第7版で〔文〕のラベルが付いたことで、二文字はみだして二行項目になった。

 

あいぼう[相棒] (名) 4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 第5版までは、①『かごをいっしょにかつぐ相手』②『いっしょに仕事をする相手』という二つの語義分類でやっていたんだけど、第6版では『〔=かごをいっしょにかつぐ相手〕いっしょに仕事をする相手』という記述になった。元の(古い)意味を〔=~〕の形で示すやり方を適用したわけである。

 第5版というと2001年発行なわけだけど、「三国」は現代にもっとも一般に用いられる意味を①に載せる主義であることから、平成前半くらいまでの日本ではかごが一般的な移動手段だった……わけではもちろんない。「三国」初版の頃だってとっくにかごは廃れていて、②の意味で使う場合がほとんどだったはずなので、編集方針にきちんと従ってなかったやつを捕まえて手直ししたもの、と見るべきだろう。

 

あいぼし[相星] (名) 4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 まったく変わってない項目、その30。

 

アイボリー (名) 4:2, 5:2, 6:2, 7:2

 ②の『象牙色』の語義について、第4版では『アイボリーホワイト』という用例を出していた。それでなんとなく白い色なんだな、と察せるようにしていたんだけど、第5版から『うすいクリーム色』とはっきり書くようになった。